いま日本は衣食住はもちろん広い分野で外国産の物が使われています。私たちの扱う石材も同じで外国産が主流となっています。なかでも中国産墓石が年々輸入量をましています。そこで今回はこの中国にスポットを当て、中国の人達のお墓観や葬法の現状などをみてみたいと思います。 死ということは人間にとって避けられない事実であり、このことをどのように考え、またそれにどう対処するかはいずこの国でも深刻な問題です。そしてその最も具体的な表現としてみられるのは、各々の民族の持っている葬法であるといえます。 古来中国においての葬法は天葬、水葬、火葬、土葬の四つの方法が用いられてきました。国内の少数民族には多種多様な葬法がみられますが、中国全人口の約9割を占める漢民族の間では主として土葬がとり行われてきました。このいわば「土葬の国、中国」が解放とともに国策として火葬を推進しはじめたのです。 本格的には中華人民共和国の成立とともに1950年から始められた「殯葬改革(ひんそうかいかく)」にあらわれました。(「殯」 諸橋轍次著「大漢和辞典」には「かりもがり・かりもがりする・人が死んで葬るまでの間屍を棺に斂めて假に安置しておくこと」とあります。)第一に火葬の導入、第二に葬送儀礼の改良がうたわれています。そもそもこの土葬から火葬への移行政策は棺材になる森林資源の節約と墓地用地による耕地の減少を食い止めるのが目的でした。即ち土地や森林の有効な利用を進め、生きている人民のためにその資源を使用するというきわめて合理的な考え方からです。 次に興味ある記事を新聞の人生相談でみましたので紹介しましょう。 |
中国では都市部と農村部では葬法の仕方にかなりの差異があります。都市部では火葬が大体80−90%と高率ですが農村部では依然土葬が一般的です。 ところで中国には殯葬に関する法律はまだない、といいます。しかし基本的な方針は定められていて、1985年国務院は「殯葬管理的斬行規定」を発布しました。 いろいろな規定が定められていますが、第2条の「文明弁喪」という言葉で表現された次の規定がその主目的であるとおもわれます。即ち積極的な火葬の推進、土葬の改革、封送迷信的喪葬習俗の破壊と除去、節約倹約の提唱です。 そしてこれら殯葬業務の管理には人民政府の指導のもと、各市の民生部門が責任を担っています。 私事になりますが一昨年訪中の際、上海市民生局の好意により市の近郊にある華僑の霊園「帰園」と市内の「龍華殯館」を訪問しました。案内には上海市民生局副局長の潘宜三氏と数名の幹部の方々が当たってくれ多忙のなかをと恐縮しました。 「帰園」では経理の張淑瑛女史「龍華」では李建海所長が熱心に説明をしてくれました。興味深い話しに何度もうなずかされましたが、なかでも日中の葬送観の相違などについては特に話しがはずみました。これらについては今後の機会にまた書かせてもらいます。 いまや中国では経済成長、改革開放政策とともに生活や文化も激しく変化しつつあります。それにともなって葬祭や墓地形態もいずれは変化せずにはいられないでしょう。一つの例を挙げてみましょう。開放政策後に現れた現象として墓地開発があります。主に華僑や国外の華人に対して分譲されています。なかにはびっくりするような豪華な土葬の墓も作られています。生活の近代化のため火葬を導入して墓の縮小を計画し、殯葬改革を推進中であるはずの中国なのですが、殯葬の問題はなかなか難しく、もの一ようには進まないのが現状のようです。 |